支援活動・趣旨文
福島こども保養基金は、東京電力福島第一原発事故によって被災したこどもたちの被ばく対策支援として、秋田県内において一時保養の受け入れの支援をする団体です。
汚染された地域に住んでいるこどもにとって保養の効果と重要性はすでにチェルノブイリで明らかになっており、甚大な汚染地となったベラルーシでは政策として保養の取り組みをしてきました。また、日本をはじめ諸外国の支援団体はチェルノブイリのこどもたちの保養支援を今も継続しています。
現在、汚染地域に住むこどもたちは屋外活動を制限されています。外で体を思いっきり動かすことやきれいな空気をいっぱいに吸い込むこと、草木や土に触れることなどもままなりません。これらのことがこどもの発育過程に重要であることは言うまでもありません。
一時保養とは、長期休みを利用して汚染されていない土地でのびのびと過ごすことです。ストレスからの解放と発育促進、抵抗力と免疫力を上げることによる放射線の影響の低減、外部被曝の積算量の減少、体内に取り込んだ放射性物質の除去という効果が期待できます。
また、放射線の中で子育てをする親の心身のストレスも日増しに深くなっており、放射線を気にせずにこどもと共に安心して過ごせることは親の保養にも繋がることがこれまでの取り組みによって分かってきました。
「そんなに不安なら福島から他県へ引っ越したらいいのではないか」「福島にいたらこどもの健康に影響を及ぼすのだから、避難してほしい、避難するべきだ」といった声があちこちから聞こえてきます。しかし、私たちが事故直後から出会ってきた福島の人たちは、それぞれの事情で避難できずに苦悩する人たちでした。そして2年経った今では、「避難できない」ということだけではなく、「大好きな故郷、この福島で、家族がバラバラにならずに、こどもたちを守っていきたい」という意思を持って残ることを決めた人たちにも出会いはじめています。被災された状況、事情が一人ひとり違えばその支援の在り方も多様性が求められていると考えます。
様々な支援の可能性がある中で私たちは、福島で生きる親子が切に求めている一時保養の取り組みをしていくことで、長期に渡り応援し続けていく支援団体として歩んでいくことを決めました。
この活動に関わる一人ひとりが福島の人たちの多種多様な境遇や悩みに耳を傾け、「共に生きる」ということが課題となっていくことを願っています。
2013年5月10日
福島こども保養基金